松山城に武士の似顔絵
江戸時代建築職人の落書きか
松山城天守閣(松山市、重要文化財)の約40年に1度の改修工事で、はがした壁板の裏に描かれた武士の似顔絵が見つかった。
松山城総合事務所は、江戸時代後期の再建工事で職人が落書きしたとみている。
壁板は長さ約2メートルで幅18センチ。
黒い墨で武士の絵が2カ所に描かれていた。
一つは真正面からの絵で、目をつり上げ、口をへの字に結んだ厳しい表情。
裃の線がうっすらと見える。
もう一つは、真上から見下ろしたようなちょんまげ頭の絵で、紋付きを羽織っている。
服装などから工事の現場監督をしていた「作事奉行」とみられる。
同事務所は家紋を分析し、誰の似顔絵なのか推定したいという。
同事務所の森正経学芸員は「工事を厳しく監督する奉行の似顔絵を描いて、クスクス笑っていたのでは」と想像。
平和な時代の穏やかな武士と職人の関係を浮かび上がらせる貴重な発見としている。
松山城は1602年から加藤嘉明が築城。
天守閣は1779年に落雷で焼失したため、1820―54年に再建された。
天守閣の改修工事は11月末に終了。
落書きの壁板は3日の落成式の後、小天守1階のギャラリーで一般公開される。