十一面観音像(国宝)
向源寺
(渡岸寺観音堂)
高月駅から北へ650mほど歩いた向源寺(こうげんじ)の境内に渡岸寺観音堂があります。
ここの収蔵庫(慈雲閣)の中にその名を全国に知られた国宝の十一面観音像が安置されています。
この観音像は、頭上に十一の小面を持った変化観音で、それぞれに化仏を持ち、十一体の観音の働きを一つの体に表したものと考えられています。
特徴は、小面を出来るだけ大きくするために、三段に配置することによって頭部が大きくならないようにしている点です。
観音像は、長く右手をおろし、腰をやや左に微妙にひねり、右膝をゆるめゆったりと立っています。
その胸や腹のくびれや厚い肉付きの太股と艶やかな肌は妖しい光を放つといわれています。
その美しい姿は現代によみがえる平安美女のようで、官能的ですらありますが、崇高さはまったく失わず「東洋のヴィーナス」と呼ぶにふさわしい第一級の文化財で、1897年(明治三十年)に特別国宝に指定されています。
<解説:引用>